世界最大級のロボット・トレードショー ~2019国際ロボット展~
2019年12月18日~21日の4日間にわたり、東京ビッグサイトで「ロボットがつなぐ人に優しい社会」というテーマのもと2019国際ロボット展(iREX2019)という世界最大級のロボット展示会が開催されました。
総勢500社以上にも及ぶ出展ブースがあり、その数を聞くだけでも規模の大きさが想像できるのではないでしょうか。
その世界最大級規模の展示会について、最新のロボットに関する情報収集のためブース見学を行ってきましたのでご紹介したいと思います。
※あくまで個人の感想の部分もありますので、その点はご了承下さい
開催概要
【名称】 :2019国際ロボット展(iREX2019)
【開催趣旨】:国内外における産業用・サービス用ロボットおよび関連機器を一堂に集めて展示し、
利用技術の向上と市場の開拓に貢献し、ロボットの市場創出と産業技術の振興に寄与する
【テーマ】 :「ロボットがつなぐ人に優しい社会」
【主催】 :一般社団法人日本ロボット工業会、日刊工業新聞社
【会期】 :2019年12月18日(水)~21日(土)
【会場】 :東京ビッグサイト 青海・西・南ホール
【開催時間】:10:00~17:00
【同時開催】:「2019部品供給装置展」(主催:日本部品供給装置工業会、日刊工業新聞社)
出展内容
数多くの出展ブースがある中で、特にブース規模も大きく印象に残ったメーカについて抜粋してご紹介します。
[安川電機]
協働ロボットHC10シリーズを使用して、「自律分散型のものづくり」というテーマのもと変種変量生産に対応する製造ラインについてメインで展示をしていました。
変種変量生産を行うためには、リアルタイムのデータを収集・活用する必要があります。
そのデータ収集を行うための機器として「YRMコントローラ(仮称)」を軸に使用してビッグデータの収集を行っていました。
まだ参考出展のため詳細はわかりませんでしたが、YRMコントローラを使用することで製造現場の機器データ収集がより簡単に行えるようになっていきそうです。
また、データ収集と同時にシミュレーション環境で編集・フィードバックを行う「デジタルツイン」という取り組みも行っており、これまでのモノづくりとは全く違った視点からのアプローチを行おうとしているため、この「デジタルツイン」という考え方についてより深く理解する必要がありそうです。
[ファナック]
協働ロボットの新シリーズCRX-10iAが出展されていました。
CRX-10iAは以前からラインナップとしてあるCRシリーズとは外装から異なり、ベースが白色でスリムになった印象を受けるロボットでした。
またロボット制御盤自体にAIを導入することで、ロボット動作をリアルタイムに最適化させるという展示がありました。
これは、エッジ層やクラウド層でのAIによる分析とはまた違った視点でのAI活用であり、面白いなと個人的に思った展示でもありました。
展示品では、バラ積みピッキングに活用するというアプリケーションでしたが、その他にも溶接や塗装、研削といったアプリケーションにも応用できそうです。
AIをクラウドで使用するのではなく、アプリケーション単体ごとに使用するという考え方は、IIFES2019展示会情報にも掲載しましたが、サーボコントローラにAIを活用することと似たようなイメージですね。
[オムロン]
i-Automationのコンセプトを披露するためのメインデモ機もかなり注目されていましたが、その他にも「統合ロボットコントローラ」について多くの来場者の方が足を止めていた印象でした。
現状、ロボットを制御するためにはダイレクトティーチやC言語でのプログラム作成などの特殊な制御を除いて、各ロボットメーカ専用の制御方法で行わなくてはなりません。
しかしこの統合ロボットコントローラでは、PLCにて行うライン制御に一般的に使用する”ラダー言語”を用いて、ロボットまで制御することができるそうです。
そのためロボット専用の言語を新たに覚える必要がないため、ロボットに慣れていないユーザの方にはメリットとなりそうです。
協働ロボットにおいてもそうですが、ロボットの制御方法も今後さらに”より簡単に・単純に”ということがニーズとして多くあるため、各ロボットメーカとも力を入れてくるところではないでしょうか。
[三菱電機]
e-factryのコンセプトを披露するメイン展示のほかに、まだ参考出展ではありましたが「MELFA ASSISTA」という協働ロボットを出展していました。
すでにAGVに搭載されたタイプもあり、より幅広い市場で適用できそうな製品となっていました。
満を持して協働ロボットのラインナップを拡充といった印象でしょうか、今後協働ロボットシェアという点で、「MELFA ASSISTA」を含めて三菱電機がさらに食い込んできそうな勢いがあります。
個人的な注目トピック
ロボットを工場や製造現場に導入しようと検討したときにネックとなるものと言えば、以下のようなものがあるのではないでしょうか。
●ロボットを含めた自動化システム全体が本当に上手くいくのか分からない
●システムの価格が概算でしか分からないため、予算が立てにくい
これを解決する方法の1つとして、ロボットを含めたシステムを汎用機とすることではないでしょうか。
価格帯とどの程度の性能があるのか事前に分かれば、あとは自社の工場や製造現場に適用できそうかを検討するだけなので簡単です。
見学した中でそのような展示をしているブースがありました。
3Dカメラを使用したバラ積みピッキングシステムをロボットの可搬重量に応じて2パターンの汎用機としており、価格帯もある程度決まっているといった展示でした。
汎用機とすることで、ユーザもわかりやすいという点と導入時間が早く、簡単になるという効果が生まれます。
今後このように汎用機としてシステムを販売するメーカが多くなってくるのではないかと個人的には考えています。
ロボットの最新情報やIoTやAIの活用についてもっと知りたい、検討したいという皆様はぜひ一度お問合せ下さい。